売れるEC商品説明文の書き方——文字数と表示ルールの迷いをなくす
写真は何度も撮り直したのに、説明文の入力欄だけが空白のまま残っている。ECの運営では珍しくない場面です。撮影は手を動かせば進むのに、文章は「何をどこまで書くか」が決まらないと一行目から止まってしまう。
国内のBtoC-EC市場は2024年で26兆1,225億円、EC化率は9.8%(経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」2025年8月26日公表)。うち物販系分野は15兆2,194億円で、その中身はほぼすべて商品ページの文章に支えられています。売り場が広がるほど、説明文の一行が売上にも返品にも効いてくる。
「何文字書けばいいか」から決めない
文字数を調べた人が最初にぶつかるのは、数字が揃っていないことです。future shopの解説記事(2025年3月25日更新)は500字を目安に挙げ、日本郵便のコラムは650字以上を勧めています。カラーミーショップは売上上位店の傾向として400字以上という数字を示していますが、調査の対象店舗数や手法までは公開されておらず、二次情報として扱うのが無難でしょう。
数字が割れるのは、どれかが間違っているからではありません。商材の単価、購入までの検討の深さ、媒体によって、買い手が読みたい量そのものが違うからです。週に一度買い足す消耗品と、部屋に置く家具とでは、知りたいことの数がまるで違う。モールの一覧からスマホで流れてきた人と、ブランドの自社サイトをじっくり見ている人でも変わります。
ですから、目安字数を先に置いて埋めにいく書き方は遠回りになりがちです。先に書き出すのは事実のほう。素材と寸法と重量、使う場面、サイズや対応機種の範囲、手入れの方法、使えない条件。この程度の項目を埋めていくと、結果として各社が挙げる400〜650字前後の幅に近いところへ落ち着くことが多い、という見方をすると腑に落ちます。字数は目標ではなく、書き終えた後の結果です。
「かわいい」を事実に置き換える
書き出せたとしても、次に起きるのが抽象語だけで終わる問題です。「かわいい」「おしゃれ」「高品質」。書いた側は情報を渡したつもりでも、読んだ側の頭には何も残りません。
置き換えの方向は決まっています。「軽量」なら本体の実測グラム数を書く。「使いやすい」なら、片手で持ったまま蓋が開けられる、といった動作で書く。「上質な生地」なら、綿◯%という組成と、洗濯機で洗えるかどうかを書く。感想を消して事実に差し替えるだけで、文章は驚くほど具体的になります。
やっかいなのは、商品知識が深い人ほどこの作業を飛ばしやすいことです。毎日触っている商品は「見れば分かる」感覚になっていて、産地も加工方法も、当たり前すぎて省略される。初めてそのページを開いた人が何を知らないのかを想像するのは、扱いが長いほど難しくなります。社内で商品に関わっていない人に一度読んでもらうと、抜けている前提が見つかりやすい。
返品理由から逆算して書き足す
「デメリットを書いたら売れなくなるのでは」という迷いは、多くの運営者が抱えています。ただ、書かなかった結果として起きるのが「イメージと違った」という返品であり、その対応コストは値引きより重い。
有効なのは、直近の問い合わせメールと返品理由を材料にすることです。「食洗機は使えますか」と三度聞かれているなら、その答えは説明文に入っていない。「思ったより小さかった」という返品が続くなら、寸法表記だけでは伝わっていないので、手に持った状態や、よくある比較対象との大きさの関係を書き足す。天然素材の個体差、初期の匂い、経年での色の変化といった「使う前に知っておいてほしいこと」は、隠すと後で必ず問い合わせに変わります。
注意点を先に書くと、購入の判断が早くなります。読み手にとっては、買わない理由が早く分かることも価値のひとつです。
公開前に見ておきたい表示まわりの前提
書き方以前の話として、表示のルールが商品説明文に直接かかってきます。2023年10月1日に施行されたステルスマーケティング規制では、事業者が主導した口コミや紹介は「事業者の表示」として扱われます。措置命令の例も出ていて、2024年11月13日には大正製薬が、報酬を伴うインフルエンサー投稿を自社サイトへ転載した際のPR表記欠如で命令を受けました。2025年3月17日には、口コミ投稿の見返りに治療費を割り引いていた医療法人社団スマイルスクエアに命令が出ています。ECでよく見る「レビュー投稿でクーポン進呈」という施策にも、同じ種類の論点があるということです。
価格まわりでも執行が続いています。2025年9月12日にはジャパネットのおせちについて、将来の価格を比較対照にした二重価格表示で措置命令。2025年3月には、特典の期間限定表示に実態がないとしてユニットコムに有利誤認の措置命令が出ました。過去価格を比較対照にする場合は、消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」が示すいわゆる8週間ルール(直前8週間のうち4週間以上その価格で販売していたか)が判断の基準になります。
ここで挙げたのは公開情報の整理であって、個別の表示が適法かどうかの判断ではありません。迷う表現が残ったときは、専門家に確認してください。
まとめ
今日できることを一つ選ぶなら、直近の問い合わせと返品理由を10件ぶん書き出すところから始めてください。そこに並ぶのは、説明文に書かれていなかった事実そのものです。売れ筋の1点にそれを足すだけで、文字数の迷いはかなり小さくなります。
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